粘度計という言葉自体、初めて目にする方も多いでしょう。
粘度とは物体を動かそうとしたときに、動き難さのことを表します。
流体の粘度を比べるには、傾けたときの液体の動きや手で触れたときの感触、混ぜた時の力加減・飲み込んだときなどの食感など感覚的なものに便り勝ちです。
その感覚的な部分を粘度計は物質の粘りを測り、はっきりとした数値で出すことで曖昧な感覚ではなく必要なとろみ具合を調節することが可能となるのです。
気になるスープの粘度
粘度計には料理に使える種類があります。
スープのような流体のサラサラ・ドロドロ・ネバネバは見た感じで判別可能です。
でも、同じネバネバ・ドロドロであっても、程度の違いが生まれます。
それを測る為に粘度計が使えます。
ポタージュスープなど小麦粉を使う料理では、規定量をほんの少し間違えただけでドロドロ状態となってしまいます。
見た目では同じようなとろみであっても、口に入れた感覚には天と地ほどの差があるはずです。
特に高齢者は飲み込む力が弱くなっているので、食事のスープやお味噌汁・お茶などが上手く飲めずに咽る事で肺に誤嚥することが発生します。
こんな場合に粘度計を用いて、とろみの程度を確認することで誤嚥を予防することが可能となります。
学会においてもとろみを研究していて、とろみには5段階が設定されています。
噛む事は出来るが飲み下すのが弱い場合、噛む力は弱いが飲み込むことに問題はないなど、人によっても状態が違います。
その人に合ったとろみを提供することが、食べる機能を維持して活かす方法でしょう。
感覚で料理しなくても良くなる!
慣れた人ならば料理は感覚で味を付けたりします。
とろみについても、それは同じことでしょう。
ですが、食べる人が料理を作った人の感覚と同じように感じるとは限りません。
もう少し柔らかいとろみが良いとか、固めのほうが食べ易いという意見もあるはずです。
飲み物であれば粘度が3段階あり、口の中に入れたときとろみがあるかないかの状態で、ストローで吸い込むのに抵抗が無い程度のものや、口の中に入れたときゆっくりと広がっていきストローで吸い込むのに少し抵抗感があるもの、それに纏まりがありストローよりもスプーンで食べる状態です。
粘度計には幾つか種類があり、料理に使えるのは細管式粘度計でしょう。
流体が流れる時間(流量)と、細管の両端の圧力の差から粘度を測ります。
最も古典的な粘度計で、細管内を試料が重力で流れる時間を測定し、粘度を求める仕組みです。
これさえあれば、毎食ごとに同じ状態のとろみをつけた食事を提供することができます。